お金を稼ぎたい!
借金まみれのJK ぱんどら子です。
学校が終わって、夕方の帰り道。
ぼーっとしていて気がつくと
売却した祖父の家の方へと向かってしまっていた。
学校からの帰る方向はあまり変わらないんだけれど
本来、右に曲がるべき道を真っ直ぐ来てしまった。
すぐに引き返そうかとも思ったが
その日はなぜか家を見たくなってしまった。
自分が住んでいた家への道。
見慣れていた風景が
もう自分の生活の風景ではないんだなぁ
とか思いながら、トボトボと歩いた。
その角を曲がれば、祖父の家がある!
そう思った瞬間に小走りから、そしてダッシュした。
私を待っていたのは目を疑う光景。
祖父の家だった建物の周りには足場が組まれていて、
シートみたいなもので囲われていた。
そのシートの隙間から見えたのは
今まであった家ではなく
柱だけになっていた建物の躯体だけだった。
呆然と見ていたが次の瞬間、
ぶわっと涙が出てきた。
祖父の家。
自分が育ってきた祖父の家。
先日まで自分が住んでいた祖父の家。
魔の前にあるのは
変わり果てた姿になった祖父の家。
借金が終わったら帰れるんじゃないかと
淡い期待していた祖父の家。
もう帰れないことを受け止めてしまった。
これが現実だ。
気分が悪くなったので
よく遊んだ近く公園に行き、
便所で吐いた。
帰りたくてももう帰れない帰り道。
中学3年の寒空の12月。
あとで知ったことだけど、
祖父の家は解体されたわけではなく
一度、外壁や内壁を取り払って
柱などの躯体だけ残して
新しく間取りなどの設計をする
リノベーションという方法で
生まれ変わって売却されたらしい。